筋トレをしているが自分の理想のカラダやなかなか成果が上がらないと思っている人はいるのではないでしょうか。そう思っている人はもしかしたら食生活を見直すべきかもしれません。カラダ作りは、運動、食事、休養が大切。そのなかでも筋トレと食事はセットで考えるのが基本。
筋トレと食事で重要なポイントはタンパク質。筋肉にとってタンパク質は材料になるため最も関わりの深い栄養素の一つ。そのタンパク質を摂取するためのポイントが2つあり、タンパク質の量と質が大切。
タンパク質の質を左右するのは、「アミノ酸スコア」。ここでは良質なタンパク質かどうかを見分けるひとつの基準であるアミノ酸スコアや「そもそもアミノ酸ってタンパク質とどんな関係があるの?」についてご紹介。
〇アミノ酸スコアとは?
タンパク質にも食品によって中身に違いがある。その差を示すのがアミノ酸スコア。体内で十分に合成できない必須アミノ酸の含有率を算出して点数化したものになる。 タンパク質を作る20種類のアミノ酸のうち、9種類は体内で合成されない必須アミノ酸。必須アミノ酸が1つでも欠けるとタンパク質は作れません。アミノ酸スコアが100の食材は、 9種類の必須アミノ酸がパランス良く含まれている良質なタンパク源といえる。
〇アミノ酸スコアの計算方法
食品タンパク質の第一制限アミノ酸含有量(mg/gN)÷アミノ酸評定パターン当該アミノ酸含量(mg/gN)×100
これがアミノ酸スコアの計算式になります。必須アミノ酸がひとつでも不足していると、筋肉の材料となるタンパク質は、最も不足しているアミノ酸のレベルまでしか合成されません。最も不足しているアミノ酸を第一制限アミノ酸と呼びます。
アミノ酸評定パターンは、1985年、FAO(国際連合食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)とUNU(国連大学)が、人間に必要なアミノ酸の量を数値でしたもの。
計算式だけ見ても、なかなか分かりづらいですね。そのため、FAO(国際連合食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)とUNU(国連大学)はアミノ酸スコアを算出しています。次に算出されているアミノ酸スコアが高い食品をご紹介。
〇アミノ酸スコアが高い食品一覧
アミノ酸スコアでは、 肉類 (牛・豚・鶏 )、魚類、卵、牛乳、大豆はいずれも100になります。ただし、 イカやタコ、エビ、カニ、貝類は、 いずれもスコア70 ~ 80程度。
精白米は61、小麦粉42。
・アミノ酸スコアが100の食品
サーロインステーキ、豚ロース、マグロ、アジ、サケ、納豆、卵、牛乳

・アミノ酸スコアが高い食品を効率的に摂取するコツ
食品の栄養成分表にはタンパク質量は記してあることが多いですが、アミノ酸スコアまでは書いていません。そこで大事なのは、多種多様なタンパク源をミックスして摂取すること。肉類、魚類、大豆・大豆食品、卵、牛乳、乳製品を1日の中で網羅するように食生活を組みたてると、相乗作用で筋肉作りに役立つ。
例えば朝食で牛乳、ヨーグルト、エッグサンドを食べると卵、牛乳・乳製品が摂れる。昼食には焼き鮭定食で魚類を摂取し、夕食には生姜焼き、冷奴など肉類、大豆製品を摂ればアミノ酸スコアが高い食品を網羅。多種多様なアミノ酸スコアが高い食品を摂ることで、良質なタンパク源を摂ることができるため、筋肉作りへの近道に。
※アミノ酸スコアが高い食品を挙げています。その他にビタミンやミネラルも一緒に摂るよう心がけましょう)
〇アミノ酸スコアと納豆・卵
・納豆
納豆は大豆からできておりアミノ酸スコアが100点であり、5大栄養素であるタンパク質・炭水化物・脂質・ビタミン・ミネラルに加え、食物繊維も含んでいる。そのため、1日のうちに摂取しておきたい食品の一つ。筋トレを行う上で、ビタミンやミネラルも必要な栄養素になります。

・卵
卵も納豆と同様にアミノ酸スコアが100点であり、タンパク質やビタミン、ミネラルなどを含んでいる栄養価の高い食品。納豆と同様におススメの食品。比較的安価であり、いろいろな料理に活用しやすいところが特徴。

・食品で摂れない場合は、サプリメントやプロテインも活用
納豆や卵が苦手な人や、もっと手軽に摂取したい人はサプリメントやプロテインで摂取することも可能。
サプリメントやプロテインの特徴は手軽で持ち運びができるため、簡単に摂取できる。プロテインは味の種類があり、自分好みの味を選ぶことができ、継続して摂取しやすい。その他に消化吸収が肉や卵、大豆などのアミノ酸スコアが高い食品よりも速い。
食品によって消化吸収時間が異なりますが大豆で3~6時間、卵(鶏卵)で2~3時間かかります。サプリメントは30分 程度、プロテインは種類により消化吸収時間が異なりますがホエイプロテインは1〜2時間程度。

〇必須アミノ酸と非必須アミノ酸
アミノ酸は「必須アミノ酸」と「非必須アミノ酸」がある。この2つのアミノ酸についてご紹介。
人の体のタンパク質を構成するアミノ酸は20種類のアミノ酸があり、その中で9種類の必須アミノ酸と、11種類の非必須アミノ酸に分類される。20種類のアミノ酸それぞれに違う働きがあり、ひとつでも欠けていたらタンパク質は合成できません。そのため20種類すべてが人間にとって不可欠な栄養素になり、多種多様なタンパク質を摂ることが重要。
・必須アミノ酸(9種類)=食事で摂取
必須アミノ酸は、体内で合成することができず、食事で摂る必要がある。働きもそれぞれ異なる。
バリン
筋肉中の組織で代謝され、筋肉の成長に関わる
ロイシン
タンパク質の合成を促すシグナルの活性化、筋肉の成長や維持するために重要
イソロイシン
疲労回復、バリン、ロイシンとともにBCAA(分岐鎖アミノ酸)に分類
リジン
カルシウムの吸収促進、免疫抗体、ホルモンなどの材料になる
フェニルアラニン
筋肉の成長に関わるドーパミンやアドレナリンの材料になる
メチオニン
肝機能のサポート
トリプトファン
セロトニンの生産をサポート、睡眠を快適にする作用
スレオニン
肝機能をサポート、人体の成長を促進
ヒスチジン
組織の成長と修復
・非必須アミノ酸(11種類)
非必須アミノ酸は、体内で合成することが可能。基本的に食事から摂らなくても合成される量で間に合いますが、重要な働きを担うアミノ酸が多く、食事から摂ることが望ましい場合もある。個別の働きが注目され、サプリメント商品になっている。
グルタミン
免疫力の回復、筋肉の疲労回復
アルギニン
成長ホルモンの分泌促進し、筋肉の成長を促す
グリシン
皮膚のコラーゲンを構成しているアミノ酸のひとつ
アラニン
肝臓の働きを維持するエネルギー源
セリン
肌の潤いを保つ作用
チロシン
甲状腺ホルモンの材料
システイン
メラニン色素の生成を抑える
アスパラギン
疲労回復を促進
アスパラギン酸
乳酸の分解を促進、アスパラガスに多く含まれる
プロリン
皮膚を構成するコラーゲンの主要な成分のひとつ
グルタミン酸
脳内の神経伝達物質の材料、うま味成分のひとつ
〇タンパク質とアミノ酸の関係
タンパク質はアミノ酸で構成され、タンパク質の最小単位がアミノ酸になる。食事から摂取したタンパク質は、アミノ酸に分解されて小腸で吸収され、肝臓へ運ばれる。肝臓に運ばれたアミノ酸は体の組織を作るタンパク質などの材料として利用される。しかしすべてのアミノ酸がすぐにタンパク質になるわけではありません。その多くはアミノ酸の貯蔵庫といえるアミノ酸プールに送られ、いつでも使えるように貯蔵されている。体の中でアミノ酸プールになっているのは、主に筋肉(骨格筋)と血管。筋肉をはじめとする各組織は常に分解と合成を行っている。アミノ酸プールから必須アミノ酸と非必須アミノ酸が使われると、減った分のアミノ酸は、食事や筋肉の分解などにより補充する必要がある。
非必須アミノ酸は体内で合成できるため、 摂取する必要があるのは必須アミノ酸となります。9 種類の必須アミノ酸をバランス良く摂取して初めてタンパク質の材料になる。そのためアミノ酸スコアが 100の食品を選び、筋肥大の材料を摂取しましょう。