〇ビタミンEとは?
ビタミンEは油に溶ける脂溶性ビタミンで大きく分けて「トコフェノール」と「トコトリエノール」の2種類ある。それぞれα、β、γ、δ体があり、合計8種類。8種類のうち、α-トコフェロールの作用が最も強く、体内で約90 %を占めている。「日本人の食事摂取基準(2015年版)」1)で基準となっているので「ビタミンE = α-トコフェロール」と覚えておきましょう。
【目次】
〇ビタミンEとは?
〇ビタミンEの働きや効果について知ろう
〇ビタミンEが多く含まれる食品(野菜や果物など)
〇じょうずなとり方
〇ビタミンEが不足するとどうなるの?
〇ビタミンEの過剰摂取と摂取量について
〇ビタミンEのおススメサプリ
〇ビタミンEの働きや効果について知ろう
ビタミンEが「老化を抑制するビタミン」とよばれているのを知っていますか。
その理由は「カラダのサビつき」を防いでくれるから。ビタミンEの働きは細胞にダメージを与える過酸化脂質の生成を抑え、細胞の老化を防ぐ働きや血液中のLDLコレステロールの酸化も防ぎ、動脈硬化の予防効果が期待されている。
過酸化脂質はカラダにとって悪影響を及ぼすもので不飽和脂肪酸が「酸化」したもの。「酸化」でイメージしやすいのが食品のリンゴを切るとだんだん断面が茶色に変色しますよね。また長い間放置すると輪ゴムがだんだんボロボロになったり、釘がさびついたり。これらの現象は酸化が関与している。酸化はカラダにとっても悪影響。ビタミンEの働きには抗酸化作用があるのでカラダの中で起こる酸化を抑制してくれる。
その他には、血行をよくする働きがあるので冷え症、肩こりなどの改善に効果があります。血行をよくする働きはトレーニングにも必見。筋トレをされる方は筋肉に栄養を行き渡らすためや、疲労を蓄積しないためにも血行をよくする働きが重要。
・動脈硬化を予防し、心疾患や脳卒中を防ぐ
・血行改善による冷え性や肩こりの改善
・老化防止
〇ビタミンEが多く含まれる食品(野菜や果物など)
魚介類、緑黄色野菜、アーモンドなどのナッツ類、穀類などに含まれています。
光に弱いため、保存するときは、光を避けましょう。
食品一覧 2)
魚介類

食品名 | 100gあたりに含まれる含有量 |
---|---|
スジコ | 10.6 |
ツナ油漬け缶詰 | 9.1 |
たらこ | 7.1 |
カズノコ | 5.1 |
ウナギの蒲焼 | 4.9 |
ウニ | 3.6 |
種実類

食品名 | 100gあたりに含まれる含有量 |
---|---|
アーモンド | 28.8 |
落花生 | 10.4 |
野菜

食品名 | 100gあたりに含まれる含有量 |
---|---|
枝豆 | 9.9 |
西洋かぼちゃ | 6.3 |
日本かぼちゃ | 5.1 |
モロヘイヤ | 6.5 |
赤ピーマン | 4.3 |
ほうれん草 | 2.1 |
果物

食品名 | 100gあたりに含まれる含有量 |
---|---|
すだち | 5.7 |
ラズベリー | 4.4 |
ゆず | 4.0 |
アボカド | 3.4 |
ブルーベリー | 2.3 |
〇じょうずなとり方
ビタミンEは油に溶ける脂溶性ビタミンのため、油を使って調理すると吸収がよくなる
特徴はいためたり、揚げたりしても熱ではこわれない。
一緒にとると効果がアップする栄養素がビタミンC。ビタミンCも抗酸化作用があり、ビタミンEの抗酸化作用がアップ。またβ-カロテンやビタミンB2、セレンなどもそれぞれ抗酸化力を持っているので、あわせてとると効果的。
その他に植物油にはビタミンEが豊富。サフラー油やトウモロコシ油で炒めると効果的。ここでの注意は油が酸化していない新しいものを使いましょう。また油の長期保存は避けましょう。油が酸化してしまうおそれがある。
・油を使って調理すると吸収アップ
・ビタミンC、B2、β-カロテンといっしょにとると抗酸化作用アップ
<油で加熱調理した場合>
・調理後、すぐに食べる
・使った油は長期保存しない
〇ビタミンEが不足するとどうなるの?

・血行不良⇒冷え症やしもやけ、肩こりになりやすい
・動脈硬化の進行⇒心疾患・脳卒中の危険性が高まる
・細胞がダメージ⇒がんの危険性が高まる
・溶血性貧血を起こす可能性
不足すると「ビタミンのE働きや効果とは」でご紹介した働きや効果が減少。そのため上記のような欠乏症状が起こる確率が高くなる。
まず「血行不良」についてビタミンEは毛細血管の血行を良くする。そのため、不足すると血行障害からくる症状が出やすくなる。その症状は冷え症、しもやけ、肩こり。
「動脈硬化の進行」「細胞がダメージ」については細胞や血管が酸化して老化が進み、動脈硬化やがんのリスクが高まる。
「溶血性貧血」については赤血球が弱まり、溶血(赤血球が破れる)することがある。
症状は息切れやふらつき。
〇ビタミンEの過剰摂取と摂取量について 1)
脂溶性のビタミンにはA・D・E・Kがあり、その中でもビタミンEは過剰症の心配が少ないとされています。しかしとり過ぎには注意が必要であり、上限量があります。
性別や年齢によって上限量は違い、1日あたり男性で19~28歳800mg、30~49歳900mg、50~69歳の男性で850㎎、70歳以上の男性で750㎎。
女性では19~49歳650mg、50~69歳の女性で700㎎、70歳以上の女性で650㎎。
摂取量の目安は18歳以上の男性で6.5mg、18歳以上の女性で6.0mg。
過剰にとり続けていると肝障害を起こすといった報告もあるので、長い期間のとり過ぎには注意しましょう。生活習慣病の予防や動脈硬化を防いだり、老化を少しでも遅らせるには1日100mg~300mgの摂取が目安量ともいわれています。上限量を超えない範囲でとりましょう。
〇ビタミンEのおススメサプリ
生活習慣病を予防したい、老化を少しでも遅らせるには1日100~300mgが目安量ともいわれている。これはなかなかの量。そのため、食事からだけではまかなえない場合はサプリを活用しましょう。しかし、サプリには、いろいろな種類がありさどれを選んだらよいか迷いますよね。ここで「選び方のコツ」をご紹介。
天然か合成か
メーカーによって違いはあるが、大豆を原料とした天然のビタミンEが含まれているものが多い。サプリの成分表に「ビタミンE」と書かれていたり、「d-α-トコフェロール」と書かれている場合がある。天然のビタミンEには種類があり、「α-トコフェロール」の作用が最も強く、「日本人の食事摂取基準(2015年版)」1)で基準となっている。そのため天然のビタミンEであれば、「d-α-トコフェロール」と記載されているものもあるので覚えておきましょう。ちなみに合成型の場合は「dl」が合成を表しています。
おススメは「天然」。より効果を維持でき、カラダでの作用も、天然の方が効果的に働いてくれる。
含有量や配合成分をチェック
錠剤や粉末など1粒または1回に摂取できるビタミンEがどれくらいの量が含まれているかをチェック。また他の栄養素が配合されているものもある。ビタミンはミネラルなど他の栄養素と互いに作用しながら効果的に働いてくれる栄養素。特に「じょうずなとり方」でご紹介したように同じ抗酸化作用を持ち、相乗効果が期待できるビタミンCが配合されているとなおよい。
サプリの形状で選ぶ
サプリには錠剤、カプセルとして販売されていることが多い。他にも粉末やグミタイプもある。自分の飲みやすい形状を選びましょう。錠剤やカプセルタイプであれば、飲む量を調整しやすく、持ち運びが簡単。グミタイプのものはおやつ感覚でビタミンEをとることが可能。
安全性
口に入れるものであるために、まずは安全なことが前提。品質管理がしっかりとなされているか、原材料はなにか、添加物はなにが入っているか、国内・国外どこで生産されたものかを確認するとよいでしょう。
値段
「天然」と「合成」では値段に違いがあり、天然の方が高い。合成も効果は得られます。そのため、絶対に天然でなければならないということはない。
毎日継続してとることが大切なので、自分が続けられる値段を選びましょう。
出典
1) 日本食品標準成分表2015年版(七訂)
2) 日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要