〇ビタミンB1の効果や働きについて
現代の日本人の食生活はお米やパンなどの炭水化物や糖質が多い傾向。みなさんの食生活を振り返っても炭水化物や糖質をとっている人は多いのではないでしょうか。糖質が分解されてエネルギーに変わるときに働く酵素がある。それが補酵素である「ビタミンB1」。糖質の代謝に関わっているため、「疲労回復」や「筋肉の疲労」を防ぐ効果がある。
その他の働きは脳の中枢神経や手足の末梢神経の機能を正常に維持するのに役立っています。そのため脚気の予防や精神安定に効果的。
【目次】
〇ビタミンB1の効果や働きについて
〇ビタミンB1が多く含まれている食品(豚肉やウナギなど)をご紹介
・上手なとり方や調理
〇おススメ料理
〇ビタミンB1が不足するとどうなる?~欠乏症状~
・こんな人は要注意!~欠乏する要因~
〇過剰に摂取した場合はどうなる?摂取量について
〇サプリの選び方
〇ビタミンB1が多く含まれている食品(豚肉やウナギなど)をご紹介
ビタミンB1が多く含まれる食品は幅広く、肉類、魚介類、海藻類、豆類、種実類など。肉類の中でも特に豚肉に多い。ほかには胚芽つきの穀物(小麦胚芽や米ぬか)に多い。胚芽とは植物の種子にあり、成長して芽になる部分。精白米にすると含有量は少なくなる。
ビタミンB1はとりだめができないので、毎日食べることが重要。白米、白パンを主食にする場合は、おかずにウナギや豚肉、レバーなどを使ったおかずでカバーしましょう。
豊富に含む食品 1)
肉類・・・牛、鶏肉には少なく豚肉に多い

食品名 | 100gあたりに含まれる含有量(mg) |
---|---|
豚ヒレ肉 赤身(焼き) | 2.09 |
豚もも肉 赤身 | 0.96 |
豚ひき肉 (焼き) | 0.94 |
ボンレスハム | 0.90 |
豚ロース赤身肉 | 0.80 |
鶏レバー | 0.38 |
魚介類

食品名 | 100gあたりに含まれる含有量(mg) |
---|---|
ウナギの蒲焼 | 0.75 |
たらこ | 0.71 |
いくら | 0.42 |
真鯛(養殖) | 0.34 |
海藻類

食品名 | 100gあたりに含まれる含有量(mg) |
---|---|
こんぶ(乾) | 0.80 |
焼きのり | 0.69 |
豆類

食品名 | 100gあたりに含まれる含有量(mg) |
---|---|
大豆 | 0.83 |
きな粉 | 0.76 |
えんどう豆 | 0.27 |
種実類

食品名 | 100gあたりに含まれる含有量(mg) |
---|---|
ごま(乾) | 0.95 |
カシューナッツ | 0.54 |
穀類

食品名 | 100gあたりに含まれる含有量(mg) |
---|---|
小麦胚芽 | 1.82 |
玄米ご飯 | 0.16 |
ライ麦パン | 0.16 |
上手なとり方や調理
ビタミンB1の特徴は水に溶けやすく、熱に弱い、塩素に弱い。そのため、調理の際の水洗いは手早く最小限で、煮すぎないようにしましょう。B1はぬかに多く含まれているため、野菜はぬかみそ漬けにすると含有量がアップ。お米を炊く場合は水道水より、ミネラルウォーターで炊くとよい。
穀類に関しては胚芽つきのごはん(玄米や胚芽米)やパン(ライ麦パン、全粒粉パン)がおススメ。また、おかずは汁ごと食べられる調理方法がおススメ。
ニンニクやネギ、ニラやタマネギなどに多く含まれるアリシンという香りの成分がある。ビタミンB1は、このアリシンと結合すると水に溶けにくく、損失が少なり、吸収もよくなるという性質がある。これによってビタミンB1が体内に長く留まることが可能に。
・サッと洗って手早く調理
・お米を洗いすぎないように注意
・野菜はぬかみそ漬けで含有量アップ
・主食は玄米や胚芽米、ライ麦パンや全粒粉パンがおススメ
・汁ごと食べられるように調理すれば、効率よくビタミンB1を摂取
・ビタミンB1の食材とニンニクやネギ、タマネギを一緒に調理で吸収アップ
〇おススメ料理
「豚肉のしょうが焼き」はB1の宝庫
肉類の中でも特にビタミンB1が豊富なのが豚肉。豚肉のしょうが焼きは簡単で食材もそろやすいのでおススメ料理。ビタミンB1は水溶性であるため加熱すると、豚肉の水分と一緒に溶けてしまいます。調理の際のポイントは豚肉に小麦粉をまぶすこと。小麦粉でコーティングしておけばビタミンB1が溶け出すのを防ぐことが可能。さらに豚肉が硬くなるのを防ぐ効果もあります。「上手なとり方や調理」でご紹介した内容ですが一緒にタマネギを加えましょう。タマネギなどに多く含まれるアリシンという成分は、ビタミンB1と結合し、水に溶けにくくなり、損失が少なり、吸収もよくなります。
〇ビタミンB1が不足するとどうなる?~欠乏症状~

・疲れやすく、カラダがだるくなる
・イライラする、集中力が少なくなる
・食欲不振、吐き気など胃腸の調子が悪くなる
・脚気になり、手足のしびれが出る
・ウェルニッケ脳症になり、運動失調や意識障害が出る
・筋硬直、筋肉痛、知覚過敏
ビタミンB1が不足する代表的な欠乏症は「脚気」。脚気は江戸~明治時代に流行。玄米食から白米食にかわり、おかずを食べることが少なく白米ばかり食べていたため、ビタミンB1不足が原因。現在では、脚気にかかる人はほとんどいません。脚気の症状は食欲不振、手足のしびれなどがあり、重症化すると心不全が起こる可能性があります。
B1が不足し、欠乏症状が現れるメカニズムに関しては、糖質の分解がスムーズにできなくなり、エネルギーが産生されず、エネルギー不足に。そうすると乳酸などの疲労物質がたまりやすく、疲れやすくなります。また、糖質は脳や神経のエネルギー源となるため、糖質の分解が不十分だと、イライラしたり集中力が欠けるといった精神的な症状が現れます。
※ウェルニッケ脳症は、中枢神経が侵されて錯乱、眼球運動の麻痺や意識障害など現れる。アルコールを多飲する人に多い。
こんな人は要注意!~欠乏する要因~
ビタミンB1は水溶性ビタミンであるため、とりだめができません。以下に該当する人は毎日とるように心がけましょう。
・お酒などアルコールを多く飲む
・喫煙者
・清涼飲料水や甘いお菓子をよく食べる
・インスタント食品などをよく食べる
・激しいスポーツをする
・お米や麺類など炭水化物が多く偏った食生活
〇過剰に摂取した場合はどうなる?摂取量について 2)
ビタミンB1は水溶性のため体内にためておくことができません。過剰に摂取した場合は尿で排泄されます。そのため上限量は設定されていません。
一日の摂取量は、年齢や性別によって違います。男性では18~49歳で1.4㎎、50~69歳で1.3㎎、70歳以上で1.2㎎。女性では18~49歳で1.1㎎、50~69歳で1.0㎎、70歳以上で0.9㎎。
〇サプリの選び方
ビタミンB1は水溶性ビタミンで、一回に吸収できる量に上限があり、多かった分は尿で排泄される。そのため、一回にたくさんの量を摂ろうとせず、こまめに摂取することが大切。サプリをうまく活用して、こまめにビタミンB1を摂取するのも一つの方法。ですがサプリには、さまざまなメーカーの商品があり、どれを選んだらよいか迷いますよね。ここで自分に合ったサプリの選び方をご紹介。
含有量や配合成分をチェック
錠剤や粉末など1粒または1回に摂取できるビタミンB1がどれくらいの量が含まれているかをチェック。市販のサプリメントは100mg以上の含有量が多い。多かった分は尿で排泄されるため、気にする必要はありません。また他の栄養素が配合されているものもある。ビタミンはミネラルなど他の栄養素と互いに作用しながら効果的に働いてくれる栄養素。配合されている栄養素もチェック。
安全性
口に入れるものであるために、まずは安全なことが前提。品質管理がしっかりとなされているか、原材料はなにか、添加物はなにが入っているか、国内・国外どこで生産されたものかを確認するとよいでしょう。ビタミンB1のサプリを選ぶ際には、自然な形で効率よく小腸から吸収することができる天然由来の材料からできている製品を選ぶのがおススメ。
価格
あまりに価格が高くても継続できなければ意味がありません。継続して摂取するため価格も重要。同じビタミンB1のサプリでも価格に違いがあるのは素材や含有量、配合されている成分で値段は変わります。その他に原材料の原産国が海外か国内かなどによっても価格が変わります。
出典
1) 日本食品標準成分表2015年版(七版)
2) 日本人の食事摂取基準(2015年版)